ERAHS
第5回東アジア農業遺産学会
世界農業遺産(GIAHS)と持続可能な社会
2018年8月26日(日) 〜 29日(水)
2018年8月26日(日) 〜 29日(水)
東アジア農業遺産学会(ERAHS) / みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会
和歌山県 / みなべ町 / 田辺市
世界農業遺産広域連携推進会議 / J-GIAHSネットワーク会議
中国農学会農業文化遺産分会 / 韓国農村遺産学会
農林水産省
「第5回東アジア農業遺産学会」が27日から29日までの3日間、みなべ町内のホテルで日本や中国、韓国の農業遺産研究者ら約400人が参加し、講演やシンポジウム、現地見学などで農業遺産の保全や活用について情報交換し、交流を深めました。
国内では2回目、2015年に世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」として認定されたみなべ町や田辺市では初めての開催。東アジア農業遺産学会、みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会、県、みなべ町、田辺市が主催し、「世界農業遺産と持続可能な社会」をテーマに話し合いました。
東アジア農業遺産学会名誉議長
東京大学サステイナビリティ学連携研究機構機構長・特任教授
公益財団法人地球環境戦略研究機関理事長
国連大学サステイナビリティ高等研究所上級客員教授
東アジア農業遺産学会(ERAHS)は、国連大学の金沢のユニット(OUIK) が日中韓 3 カ国の農業遺産地域の交流を深めるために 2013 年 5 月に開 催した「国際 GIAHS ワークショップ」に端を発しています。この成果 を踏まえ、同年 8 月に韓国の済州島と青山島で「日中韓 GIAHS ワーク ショップ」が開催され、その中で中国の代表から「東アジア農業遺産学 会(ERAHS)」の設立が提案されました。当時の日中韓の微妙な政治的、 外交的な動向に左右されないように「学会」としましたが、実際には学 術的な交流だけでなく、農業遺産の認定地域の活動の交流の場にもしよ うと考えていました。
以来、2014 年の中国の江蘇省興化市での第 1 回 ERAHS 会議の開催 を皮切りに、2015 年には日本の新潟県佐渡市、2016 年には韓国の忠 清南道錦山郡、2017 年には中国の浙江省湖州市と、毎年、日中韓の持 ち回りで開催されています。会議には各国の研究者、行政関係者、農業 者などが一堂に集い、各地の農業遺産の保全活動の学び合い、共同研究 や今後の連携など交流を深めています。私も、第 1 回からすべての会議 に出席してきましたが、回を追うごとに盛大になっているとともに、日 中韓の関係者の友情が深まっていることをたいへん嬉しく思っています。
第 5 回の今回の会議は、2015 年に世界農業遺産に認定された「みなべ・ 田辺の梅システム」のサイトである和歌山県みなべ町・田辺市で開催さ れます。このシステムは、養分に乏しい斜面の梅林周辺に薪炭林を残し、 水源涵養や崩落を防止しながら、薪炭林を活用した紀州備長炭の生産と、 ミツバチを受粉に利用した梅栽培を行うたいへんユニークなシステムで す。実は田辺市は、私の祖父母が住んでいたこともあって、小さい頃に よく遊びにきていた懐かしい場所です。中国、韓国、そして日本の各地 から参加される皆様を歓迎いたします。
この会議の開催にご尽力いただいた地元の和歌山県、みなべ町、田辺市、 さらには中国、韓国の関係の皆様に心から御礼申し上げるとともに、こ の会議の成功を契機に、東アジア農業遺産学会がますます発展し、日本、 中国、韓国を中心とした東アジア、さらには世界全体の GIAHS の発展に つながることを心から期待しています。
みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会会長
みなべ町長
2015 年 12 月「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定され、 3 年目を迎える本年、当みなべ・田辺地域において、5 回目となる世界農 業遺産の価値向上を目的に日本、中国、韓国の農業遺産認定地域間の連 携強化、研究交流を図る東アジア農業遺産学会が開催されますこと、また、 日中韓の世界農業遺産に関わる多く皆さま方のご来訪、大変喜ばしい限 りでございます。
当地域は、和歌山県中央部に位置し、温暖多雨な気候の中、海岸辺り から中山間地に渡る農地では、日本の半分以上を占める梅を生産すると ともに、山間地では薪炭林を育む中、最高品質を誇る紀州備長炭が生産 され、国立公園である沿岸部では豊富な魚介類が水揚げされるなど、海 山川の恵みに育まれた地域です。
当地域は、もともと傾斜地が多く、水田に適する土地が少なく耕作不 向きな地形をしていましたが、温暖な気候と排水の良い礫質土壌が梅に 適し、約 400 年前から梅栽培が始まりました。また、紀州備長炭の原木 となるウバメガシ等の薪炭林を梅畑の上部に残すという土地利用を行う ことで、崩落を防止するとともに、生態系を守り、水資源などの天然資 源を活かしながら、連綿と持続可能な農業が営まれてきました。これが 梅システムの始まりです。
先人たちは、この梅システムを取り巻く様々な社会・経済状況の変化 に知恵と工夫を凝らし、柔軟に対応しながら現代まで継承されてきたと ころであり、この梅システムを次の世代に継承していくことが我々の使 命であります。
現在、この地域も日本各地の農山村地域と同様に、一次産業従事者の 高齢化、後継者不足、鳥獣害問題、それらによる耕作放棄地の増加など、 産地を維持・継承していくための大きな課題に直面しています。このため、 世界農業遺産認定地域としては、梅システムの保全と活用を図るために、 地域住民の世界農業遺産への理解はもとより、認定地域としての誇りの 醸成など、その重要性を認識いただくとともに、多様な主体の参加によ る自立的で持続的な取り組みを促進し、地域の活性化を図っていかなけ ればなりません。
こうした中、日中韓の認定地域の関係者の皆様方が一堂に会し、農業 遺産の保全・活用活動に関する情報・経験・課題を共有し、地域間のネッ トワークを構築できるこの学会は、開催地である当地域はもちろん、認 定地域各地にとって大変重要な機会であり、実り多きものになることを 期待しております。
結びに、本学会の成功を契機に、世界農業遺産の価値の拡大と認定地 域各地のご発展、また皆様方の益々の御活躍、御健勝を心より祈念申し 上げ、歓迎のあいさつといたします。
和歌山県知事
第5回東アジア農業遺産学会が、本県で盛大に開催されますことを心 よりお慶び申し上げますとともに、東アジア地域の世界農業遺産認定地 域をはじめ、日本国内の農業遺産に関わる多くの皆様方の御来県を県民 を代表して歓迎申し上げます。
わが国最大の半島である紀伊半島の西南に位置する和歌山県は、紀伊 山地が県土の大部分を占め、西は瀬戸内海、南は太平洋に面し、高野山 や熊野古道など世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」をはじめ日本 屈指の観光資源を擁し、世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」 が最も旬な旅行先を紹介する「Best in Travel2018」においても「紀伊 半島」が訪れるべき地域ベスト5に選出されるなど、世界的にも注目さ れています。
また、本県基幹産業でもある農業分野においては、恵まれた気象や地 質条件を活かした果樹栽培が盛んで、うめ、温州みかん、かきは全国1 位の生産量を誇ります。
なかでも、みなべ・田辺地域の梅栽培は約 400 年前にはじまり、現在、 日本国内の 50% 以上の生産量を誇る一大産地が形成されています。当地 域では、紀州備長炭の生産も盛んで、その原料となる薪炭林が水源涵養 や崩落防止など保全機能を発揮するとともに、うめの花の受粉に薪炭林 に生息するニホンミツバチを利用するなど梅林との共生関係が築かれて きたことや、地域の里地・里山の自然景観が保全され、豊かな生物多様 性が維持されていることなどが総合的に評価され、2015 年に「みなべ・ 田辺の梅システム」として世界農業遺産に認定されました。
このような環境の中で生産された高品質なうめは、梅干しや梅酒など に加工されています。当地域の就業者の約 7 割がこの梅産業に関わって おり、生産振興や将来を見据えた後継者育成の取組など、農業遺産シス テムの保全と継承に熱心に取り組んでいます。
県内の他の地域においても「みなべ・田辺の梅システム」に続き、農 業遺産の認定を目指した取組もはじまっており、県としても積極的に支 援を行っているところです。
こうした中、東アジア地域の研究者や認定地域の関係者の皆様方が一 堂に会し、「世界農業遺産 (GIAHS) と持続可能な社会」をテーマに農業 遺産の保全と活用に関する情報を交換し、共同研究や交流を深められる ことは開催地である本県のみならず、世界的に注目されている東アジア 地域の持続的発展に大きく寄与するものであり誠に意義深く、大きな成 果が収められるものと期待しています。
結びに、本学会の成功と皆様方の益々の御活躍、御健勝を心から祈念 申し上げ、歓迎のあいさつといたします。
08:30 - 09:00 |
開会式
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール
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09:00 - 10:00 |
基調講演
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール
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10:00 - 10:20 |
写真撮影(ロイヤルホール)、ポスターセッション
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール前ホワイエ |
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10:20 – 12:40 |
パラレル・シンポジウム 1
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール
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10:20–12:40 |
パラレル・シンポジウム 2
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F インペリアルホール
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13:40 – 16:00 |
パラレル・シンポジウム 3
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール
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13:40 – 16:00 |
パラレル・シンポジウム 4
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F インペリアルホール
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16:00 - 16:30 |
ポスターセッション
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール前ホワイエ |
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16:30 – 17:30 |
基調発表
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール
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17:30 – 18:30 |
全体会合及び閉会式
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F ロイヤルホール
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09:00 - 17:00 |
現地見学会
和歌山県果樹試験うめ研究所、みなべ町うめ振興館、紀州石神田辺梅林、奇襲備長炭記念公園 他 |
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08:30 – 11:00 |
テーマ別セッション 1
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 2F グランドホール
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08:30 – 11:00 |
テーマ別セッション 2
Hotel & Resorts WAKAYAMA-MINABE 1F インペリアルホール
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紀州石神田辺梅林 | 紀州石神田辺梅林は、 梅の産地・田辺市を代表する梅林で、 その広大な梅畑は 「一目 30 万本」 と謳わ れます。また梅林としては近畿屈指の標高(約 300m)を誇り、そこからすり鉢状に梅畑と里山を臨むロケー ションが当梅林最大の魅力です。 そして遊歩道で標高約 400 mの 「大蛇峰展望台」 まで登れば、 太平洋 を遠景にさらに一帯を見渡す事ができ、 誰もがその雄大な景色に感動を覚えることでしょう。 |
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紀州備長炭記念公園 | 備長炭記念公園では、 備長炭発祥の地である秋津川の紹介と、 備長炭の製炭過程を紹介しています。 紀州備長炭発見館では、 木炭の歴史や文化あるいは種類・用途などをわかりやすく解説。また、 公園内に ある炭窯では備長炭の製炭が実際に見られ、 一層木炭への理解を深めることができます。レストランでは備 長炭を使用した食事をすることができ、 売店では燃料用の備長炭やさまざまな備長炭グッズを販売しておりま す。また、 紀州備長炭を使用したバーベキューコーナーも期間限定で営業しております。 |
和歌山県果樹試験場うめ研究所 | 果樹試験場うめ研究所では、うめ産業の更なる振興を図るため、 新品種の育成・探索、 生理生態の解明 や養水分管理技術開発、 高品質安定生産技術開発並びに生育不良樹の総合対策等の試験研究を行っていま す。また、 安全・安心・健康なうめ果実を生産するため、 効率的な病害虫防除や機能性成分の向上技術開 発にも取り組んでいます。 |
みなべ町うめ振興館 | みなべ町うめ振興館は、 梅の歴史や特徴を、 映像や音声で楽しく学ぶことができるだけでなく、 町の歴史 や文化財を知ることができる施設です。 1 Fの歴史ゾーンでは、 南部郷に伝わる文化財や、 梅で染めた着物 など、歴史の情報を展示物とビデオでわかりやすく紹介しております。メインフロアとなる 2Fの梅資料ゾー ンは、 梅を人物・歴史・文学・サイエンス・環境・雑学など、さまぎまな視点でとらえた展示ゾーンです。《年 中満開の梅林をご覧いただける 「南部梅林」 のパノラマ》、《梅干しの科学と神秘の謎を解くサイエンスゾー ン》、《梅はどこから日本にやって来たのか ?》、《日本人と梅との深い関係》 など、興味深い事柄をわかり やすく展示解説しています。 3 Fには、 品数豊富な物産販売所があります。 |